日本のフードカルチャーガイド

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レトロな下町・谷根千で食べ歩き! お酒に合う惣菜から和スイーツまで堪能

「谷根千」の通称で親しまれている谷中・根津・千駄木エリア。

戦災を免れ、江戸時代から残る建物や文化がいまもなお息づいている、古きよき日本の魅力が詰まったスポットです。谷中は寺町、根津は遊郭をはじめとする商業地、千駄木は文豪の住む街として、それぞれの歴史を歩んできました。

谷根千という呼び名が浸透したきっかけは、1984年に地元の主婦仲間が創刊した地域雑誌『谷根千』。時代とともに消えゆく昔ながらの街並みや文化を記録し、魅力を発信していこうという彼女たちの活動は、今日の谷根千ブランド確立に大きく貢献しました。

今回は谷中銀座商店街〜千駄木〜根津をお散歩し、その土地の文化に触れながら谷根千グルメを堪能してきました! お酒にぴったりの惣菜から老舗の和スイーツまで、食べ歩き中に出会った絶品ワンハンドフードをご紹介します。

谷中銀座商店街『越後屋酒店』でほろよいスタート。

谷中ぎんざの人気スポット「夕やけだんだん」

JR日暮里駅西口から3分ほど歩くと見えてくる「谷中ぎんざ」のゲート。その手前にある階段は、夕方になると素晴らしい夕焼けが見渡せる人気スポット「夕やけだんだん」です。階段を降りて商店街に入ると、谷中のシンボルでもある猫ちゃんがお出迎え。

商店街を歩いていくと、軒先がなにやら賑わっているお店を発見! ビールケースをひっくり返した即席イスに座って、昼間からみなさん楽しそうにお酒を飲んでいる様子。お店の名前は『越後屋酒店』。酒屋さんのようです。

越後屋酒店 女将 本間スミ子さん

気さくな笑顔で出迎えてくれたのは、女将の本間スミ子さん。故郷の新潟から上京し、『越後屋酒店』の向かいにあった理容室で働いていましたが、ひょんなことから現店主の元裕さんに思いを寄せられ…「向かいから歩いて嫁いできたんです(笑)」とのこと。

1904年に別の場所で創業した『越後屋酒店』がここへ移転してきたのは、太平洋戦争後のこと。空襲で焼け野原になったこの通りに道路ができたのを機に、同店を含めた新しいお店がぽつぽつと建ち並び始め、やがて商店街が誕生したのだそう。

『越後屋酒店』のような家族経営のお店が並び、お客さんとの会話があちこちから聞こえてくる谷中銀座商店街。スーパーで黙々と買いものをするのが普通になった現代ですが、こうして人との触れ合いを楽しみながら夕食の買い出しをするのもいいものですね。

店頭には、琥珀ヱビス<樽生>(税込¥400)や、全国各地の日本酒(税込¥500〜)が勢ぞろい。さっそく注文すると、「私は飲めないんだけどね」と笑いながらなみなみと注いでくれました。商店街で買ったフードと一緒にいただいてもOKとのことで、女将とおしゃべりしながらちょっとした宴会を楽しめるお店です。お酒好きな方はぜひ立ち寄ってみて。

店名:越後屋酒店
住所:〒110-0001 東京都台東区谷中3-13-2
TEL:03-3821-0983(対応は日本語のみ)
営業時間:月〜土10:00~21:00、日祝10:00~21:00
定休日:年中無休
Webサイト:https://www.sake-echigoya.com

魚介系ワンハンドフードならここ! 『丸初福島商店』

商店街をさらに進むと、貝が描かれたレトロな看板が。ここは貝類や川魚を扱う『丸初福島商店』。創業90年で、『越後屋酒店』と同じく戦後にここに移転してきたそうです。旬の魚介類のほか、その場ですぐに食べられるテイクアウトメニューも。

いただいたのは、6〜9月頃限定のあゆ塩焼き(税込¥450)と、焼き生貝柱(税込¥380)。旬のあゆは脂がのってジューシー、貝柱もびっくりするほどやわらかくて美味でした。ほかにも、焼きほたて(税込¥280)、生いか焼(税込 身¥400、下足¥150)、プリプリえび串焼(税込¥100)などがあり、午後の時点ではすでに売り切れているものも。お目当てがある場合は、早めの来店が吉かもしれません。

店名:丸初福島商店
住所:〒110-0001 東京都台東区谷中3-13-4
TEL:03-3822-2315(対応は日本語のみ)
営業時間:9:00~19:00
定休日:日曜・祝日
Webサイト:https://ameblo.jp/maruhatsu55

千駄木駅近くで見つけたレトロ居酒屋『慶』

商店街を出て左へ進むと、どこからか香ばしいにおいが…。正体はここでした、居酒屋『慶』。女将が店頭で焼いている焼き鳥は、どれも食欲をそそります。これは買わない手はありません。

こちらのお店は、佐藤政司さん・春子さんご夫婦、息子の巨史さんの3人で営んでいるという創業20年の居酒屋さん。イチオシメニューは自家製つくね(税込¥120)。じっくり煮詰めてペースト状にした玉ねぎがおいしさの秘訣なのだとか。

さっそくいただいてみると、玉ねぎの甘みとタレの香ばしさが口いっぱいに広がって最高…。レバー、とり肉、なん骨(いずれも税込¥120)もいただきましたが、どれも安定のおいしさでした。

お店の奥にはカウンターとお座敷があり、棚にはキープボトルがずらり。近所の常連さんをはじめ、最近では遠方や海外からのお客さまも多いのだそう。刺身(¥650〜)やエイヒレ焼(¥550)、自家製ギョーザ(¥500)、もつ煮込(¥450)など、居酒屋好きにはたまらないメニューが盛りだくさんなので、お散歩の途中に店内で一杯…なんてのもいいですね。

慶 女将 佐藤春子さん

店名:居酒屋 慶
住所:〒113-0022 東京都文京区千駄木3-40-14
TEL:03-3823-3023(対応は日本語のみ)
営業時間:17:00~23:00(土日祝は早めにオープン)
定休日:水曜

『あめ細工 吉原』の実演販売に感動。

続いて立ち寄ったのは、『あめ細工 吉原』千駄木本店。今年で11周年を迎えるという同店は日本では初めて作られた飴細工専門の路面店。お祭りやパーティーに出向いて商売しながらもこうして店舗を構えている飴細工屋さんは、とても珍しいのだそうです。店内に並ぶ繊細な飴細工の数々は、もはや芸術品。

同店の売りは、注文した飴細工を職人さんが目の前でつくってくれる実演販売(¥700〜)。熱してやわらかくした飴が固まるまでの約3分の間に、すばやく形を整えなければならないのだとか。その凄技を拝見すべく、猫(¥1,100)を注文してみました。すると…

白い塊があっという間に三毛猫に。 しかも、飴細工のつくり方やお店のことをお話ししてくれながらという芸当。こ基本の十二支が作れるまでに2年くらい、その後も他のモチーフを練習しながら、一人前になるまでには5年くらいかかるそう。まさに職人技です。

ちなみにこのウサギは、『あめ細工 吉原』のオリジナルキャラクター・あめぴょん(¥1,000〜)。切る・つまむ・伸ばすといった飴細工の基本技術から生まれたキャラクターで、ポーズを変えたり服を着せたりとさまざまなオプションがつけられるそうです。ギフトやイベントにもぴったりですね。

店名:あめ細工 吉原 千駄木本店
住所:〒113-0022 東京都文京区千駄木1-23-5 巴ビル1階
TEL:03-6323-3319(対応は日本語のみ)
営業時間:月〜金13:00~18:00、土日祝10:00〜18:00(実現販売はいずれも17:00まで)
定休日:火曜(祝日は営業)
Webサイト:https://ame-yoshihara.com

へび道を抜けて、根津神社へ寄り道

「へび道」と呼ばれるくねくね曲がった路地は、かつて藍染川という小川が流れていた道。昔ながらの家やお店のほか、最近できたおしゃれなカフェや雑貨店も軒を連ねています。雨が降ったりやんだりのお天気でしたが、しっとりと濡れた街並みもノスタルジックで素敵。

根津神社は、1900年前にヤマトタケル尊が創建したとされる古社。1706年に江戸幕府5代将軍・徳川綱吉が建てた社殿はそのまま現存しており、国の重要文化財に指定されています。毎年4〜5月初旬頃には約100種3000株ものつつじが咲き誇り、「文京つつじまつり」も開催されて大賑わい。隣接する神社・乙女稲荷まで続く千本鳥居も、パワースポットとして人気です。

〆のデザートは、売り切れ必至の『根津のたいやき』

最後に訪れたのは、行列ができるたいやき屋さん『根津のたいやき』。14時すぎに来店したときにはすでにあんが残りわずかで、私たちが購入した数分後には売り切れ・閉店。危なかった〜。

『根津のたいやき』は、もともとは人形町の老舗たいやき店『柳屋』の暖簾分けとして1957年にオープンしたお店。2000年からは暖簾を卒業して独立し、いまでは根津を代表する人気店となっています。2代目というご主人に味のこだわりをお聞きすると、「変化の多いこの時代に、変わらない味を伝え続けていること」と話してくれました。

ひとつずつ丁寧に焼き上げられたたいやき(税込¥170)は、パリッとした薄皮に自家製あんこがたっぷり。皮の香ばしさとあんこの上品な甘みのバランスが絶妙で、何個でもペロッと行けてしまいそう…。お散歩の〆にぴったりな優しいおいしさでした。

店名:根津のたいやき
住所:〒113-0031 東京都文京区根津1-23-9-104
営業時間:10:00~売り切れ次第終了(2019年10月末までは10:15〜)
定休日:土曜・日曜・ほか不定休(Facebook、Twitterにてお知らせ)
Webサイト:https://www.facebook.com/nezunotaiyaki/
https://twitter.com/taiyaki_nezu

ファミリーや友達同士でワイワイ歩いても、ひとりでふらっと歩いても楽しい谷根千エリア。グルメやカルチャーはもちろん、地元の人たちとの出会いもお散歩の魅力です。たくさん寄り道をして、おなかもココロも思う存分満たしてくださいね。

Writer
三橋温子
Photographer
原田真理
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