東京にある楽園! ウミガメも食べる世界遺産・小笠原諸島の島グルメ【詩歩の死ぬまでに食べたい!日本の絶品ごはん#7】
こんにちは。絶景プロデューサーの詩歩です。今回ご紹介するのは、2019年のゴールデンウイークに5泊6日で訪れた小笠原諸島。東京都の島とはいえ、片道24時間の別世界! そこで出会った素朴であたたかいごはんをご紹介します。
ホテルのような快適な船旅からスタート!
2011年に世界自然遺産に正式登録された、東京都の亜熱帯・小笠原諸島。大小30もの島々で成り立っていますが、主に観光で行けるのは一般の人々が暮らす父島と母島だけです。
東京から約1,000㎞も離れており、空港はないので、交通手段は船。竹芝桟橋を出発し、片道約24時間の長旅がスタートです。
小笠原諸島名物、カメを食べる
亜熱帯の小笠原諸島は、過去に一度もほかの陸地とつながったことがない島々。ここにしかない手つかずの大自然、独自の生態系が残る貴重な場所なんです。
海の透明度も「こんなところが日本にあったなんて!」と感嘆する美しさ。いつまででも眺めていたい絶景にあふれています。
おいしいご飯を食べようと父島のメインストリートを歩いていると、見慣れない文字が目に入ってきます。
実は、父島は絶滅危惧種に指定されているアオウミガメを食べる世界的にも珍しい場所。食用にしてきた歴史が長く、人工ふ化の試みが続いていることから、年間135頭の捕獲が許可されているといいます。
それはぜひ食べなくては!と向かったのは、父島で30年続く老舗寿司店「島寿司」です。
小笠原のお寿司をいろいろ食べてみたいので、カメ寿司が1つ入った「カメ入り小笠原寿司」(1600円)を注文しました。
一見、赤身で味も濃厚そう…と思うのですが、食べてみると驚きのあっさりさ! 馬肉のイメージが近いかもしれませんが、より弾力があり食べ応えのある食感です。
写真の上の列が、醤油漬けの「島寿司」。かつて冷蔵庫のなかった時代に保存目的で刺身を醤油漬けにしたところから、伊豆諸島や小笠原諸島では定番の調理方法になったそう。昔は手に入らなかったワサビの代わりに洋がらしを使い、漬けの甘みとつんとした辛みの組み合わせが絶妙です。
また父島では、カメの内臓を煮物にした「亀煮」も定番の郷土料理なんだとか。私も一口いただいたのですが、なかなかクセのあるお味で…。ハマって大好きになる人と苦手な人に分かれるそうなのですが、どうやら私は後者だったようです(地元の皆様、ごめんなさい)。
島民の日常、早朝のパン屋と無人のおにぎり屋さん
旅の面白さは、地元の方にはごく普通の日常を、すべて新鮮に楽しめることです。
父島の朝にぜひ訪れたいのは、朝6時半にオープンする島のパン屋さん「パンとケーキの店 たまな」。6時ごろにはお客さんが並び始め、7時~8時には完売になって営業終了となるんです。
父島のパン屋には、この「たまな」と、もう一軒「ローヤルベーカリー」の2店舗しかなく、パン好きの島民と観光客にとってはなくてはならない存在。毎朝できたてのパンを食べてほしいとの思いから、早朝1~2時ころから作り始めているといいます。
URL:https://www.facebook.com/pantokekinomisetamana/
島散策をしていると、おにぎりを販売している精米所を発見。よく見ると、無人販売で「好きなおにぎりを買って、お金を置いていってね」というシステムになっています。親切におつりまで用意されているという、のどかな島ならではの光景! あまりの平和さに笑っちゃいました。
父島は、街全体の雰囲気が明るくて開放的です。それもそのはず。小笠原村の平均年齢は41.39歳、で都内の平均年齢の低い市区町村、第2位(※東京都の統計「区市町村別平均年齢」の平成31年の総数より)なんです。
地方の過疎化のイメージにある「高齢の島民たちが暮らす日常」はここにはありません。島民の多くが若い移住者で、生き生きとしたエネルギーが島全体に漲っている。夜遅くまで飲食店がにぎわい、一週間も滞在するとすっかり島民と打ち解けてしまうほどです。
母島、南島。周辺の島々へ大人の遠足へ
父島に来たらぜひ足を伸ばしたいのが、父島から定期船「ははじま丸」で約2時間の母島です。より素朴な自然が残る母島では、海を眺めて散策してカフェでのんびりする、これ以上ない贅沢な時間が過ごせます。
さらに、父島からは南島へのツアー船も出ています。南島は無人島で、島の環境保護の観点から1日100人までの入島制限があります。観光客が多いシーズンには、船のチケットをとるのも一苦労…。もし行ける機会があったらぜひ検討してみてください。
南島のおすすめ撮影スポットは「扇池」。外洋とつながったビーチで、石炭岩が侵食されてできた特徴的な地形です。
1週間の滞在を終えて父島を離れるときは、なんと、島民の皆さんが港でお見送りしてくれます。いつまでも手を振りながら、かけてくれる言葉は「いってらっしゃい!」。父島がホームだからまた戻っておいで、という意味が込められているんです。
ダイビングツアーを提供するダイバーの皆さんは、「訪れてくれてありがとう」の感謝の気持ちを込めて、海に飛び込むパフォーマンスもしてくれる。父島からの出航は、これがいつもの光景なのだそう。そのあたたかさに胸が熱くなる、忘れられない島旅になりました。
インタビュー/ソトレシピ編集部
文/田中瑠子
写真/詩歩
訪問日/2019年5月
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ソトレシピLOCAL GUIDE
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絶景プロデューサー
詩歩(Shiho)
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