新しい日本の台所『豊洲市場』で、マグロせり見学と市場グルメを楽しむ
東京都江東区豊洲 POSTED on 2019.09.04
東京都江東区豊洲 POSTED on 2019.09.04
かつて「日本の台所」と呼ばれた築地市場。施設の老朽化と狭隘(きょうあい)化を改善するため、2018年10月に豊洲市場として生まれ変わりました。
鮮魚や青果の卸売を目的とした施設ではありますが、決められたエリア内であれば自由に出入りできることをご存じですか? 普段なかなか見られないマグロのせりから、市場グルメやショッピングまで、新しい「日本の台所」の楽しみ方をお届けします。
築地から豊洲へと受け継がれた歴史
1935年(昭和10年)に開設された築地市場は、都内11ヶ所にある東京都中央卸売市場のなかで最も歴史のある市場でした。
そもそもの発祥は江戸時代初期。徳川家康から江戸湾での漁業権を与えられた大阪の漁師たちは、獲った魚を幕府に献上し、残りを日本橋で売るように。それが「魚河岸」として発展したと言われています。その後、民営市場開設や関東大震災での被災などを経て、築地市場がオープンしました。
そんな築地市場の歴史を受け継ぎ、2018年に移転開設した豊洲市場。適切な温度管理、スムーズな物流、省エネなど、築地市場が抱えていた課題を解決するさまざまな機能を備えた施設です。
豊洲市場の広さは40万平方メートルで、築地市場の1.7倍。管理施設棟、水産卸売場棟、水産仲卸売場棟、青果棟の4施設からなり、市場のイメージをくつがえす近未来的な外観が印象的。
一般客が利用できるエリアは、管理施設棟の「PRコーナー」、水産卸売場棟の「マグロせり見学デッキ」「見学者ホール」、水産仲卸売場棟の「見学ギャラリー」「物販店舗」、青果棟の「見学デッキ」、そして各棟の「飲食店舗」となっています。
国内外から集まる新鮮なマグロがずらり
市場に来たら一度は見てみたいのが、マグロのせり。間近で見学できる「マグロせり見学デッキ」は事前抽選制ですが、抽選にもれても2階見学者通路からであれば誰でも見学できます。
「マグロせり見学デッキ」は、ガラス越しですがせり場全体を近くで眺められ、働く人たちの声や活気も感じられるエリア。広いせり場には、近海で獲れた生マグロと遠洋の冷凍マグロがずらり。売り手である卸売業者やマグロの種類(本マグロ、インドマグロ、メバチマグロ、キハダマグロ)ごとに1000本以上が並ぶそうです。
せりは各売り場で早朝4:30からスタート。マグロのせり開始は5:30頃です。開始前には、買い手である仲卸業者や売買参加者がマグロを1本ずつチェック。尾の部分の切り口が見えるように置かれていますが、これは脂や色の具合を見てマグロの質を確かめるためとのこと。
現在(夏シーズン)の旬はニュージーランドやボストン産。プロはマグロを産地と漁法で呼ぶそうですが、ボストン産のマグロは大きくジャンボ機で輸送されるため「ジャンボ」という通称があるのだとか。
卸売業者(せり人)が勢いよく鐘を鳴らすと、お目当てのマグロがある買い手たちが続々と集まってきました。これがせりスタートの合図。買い手は「手やり」を使って買いたい品の値段を指で示し、それをせり人が見定めて落札者を決定していきます。スピーディでリズミカルなせりの様子には、思わず魅入ってしまうこと間違いなし。
せり見学のあとは、人気の海鮮丼店で朝ごはん
管理施設棟、水産仲卸売場棟、青果棟の3施設それぞれにある飲食店エリア。店舗数が最も多いのは水産仲卸売場棟で、寿司・洋食・喫茶店など約20店舗が並びます。
市場グルメを満喫するならやっぱり海鮮! ということで、築地市場から移転した海鮮丼のお店『仲家(なかや)』におじゃましました。ボリュームたっぷりの新鮮な魚介とコスパのよさが人気とあって、まだ7:00頃にもかかわらず10組ほどの行列が。ただし丼の提供が早いので、回転も早めです。
約10種のネタが味わえる「海鮮丼」は、なかおち・サーモン・いくら・かにのほぐし身などの定番のほか、旬のアジも入って1,500円というお得メニュー。どのネタも肉厚&ボリューミーで、満足度120%。
高級ネタを楽しみたいなら「とろ・うに・いくら丼」がおすすめ。3ネタとも鮮度抜群で、酢飯との相性も絶妙です。
通常の丼メニューに好きなネタをトッピングできるのも『仲家』の魅力。自分好みのオリジナル丼で、最高に贅沢な朝ごはんを楽しんでみては?
店名:仲家
住所:〒135-0061 東京都江東区豊洲6-5-1 豊洲市場 水産仲卸売場棟3F
TEL:03-6636-0211
営業時間:5:30~13:30
定休日:日曜・祝日・休市日
Webサイト:http://toyosu.tsukijigourmet.or.jp/shop/6-nakaya/index.html
定食をいただくなら、老舗の絶品フライ
同じフロアにある『とんかつ小田保(おだやす)』は、築地市場開設時から営業する老舗。現在は豊洲本店と築地場外店があり、新鮮な魚介のフライやとんかつ、唐揚げなどが人気です。
3種のフライがいただけるお得な定食は、A(エビ・カニクリーム・ヒレ)、B(フグ・メカジキ・シャケ)、C(エビ・アジ・ホタテ)の3メニュー。サクサクの衣とふっくらジューシーな身のハーモニーがたまりません。
市場で働く人に人気なのが「チャーシューエッグ」。濃いめのたれが染みたとろとろチャーシューに半熟卵を絡めていただく、ガッツリなのにペロッといただけてしまうメニューです。
厨房から撮影にご協力くださったのは、3代目店主の田中克己さん。優しく気さくな店主がつくる、ホッとするような絶品朝ごはんをぜひご賞味ください。
店名:とんかつ小田保 豊洲本店
住所:〒135-0061 東京都江東区豊洲6-5-1 豊洲市場 水産仲卸売場棟3F
TEL:03-6633-0182
営業時間:5:30~15:00(L.O.14:00)
定休日:日曜・祝日・休市日
Webサイト:https://odayasu.net
物販エリア『魚がし横丁』でショッピング
水産仲卸売場棟の4階は、一般客も買いものができる『魚がし横丁』。乾物や調味料、青果、調理器具など、いろんな商品が手に入ります。業者向けのお店だけに、掘り出しものが見つかるかも。
市場めぐりの最後は、屋上緑化広場で東京を一望
太陽光発電やヒートアイランド対策のために設置されたのが、水産仲卸売場棟の屋上にある緑化広場。きれいに整備された芝生とその上に広がる青空がとっても開放的。レインボーブリッジや晴海のビル群など、東京らしい景色が望めます。
ちなみに、先ほど『魚がし横丁』で買った品々がこちら。老舗『すし玉青木』の玉子焼きをはじめ、おしゃれな瓶入りピクルス、カレイのポストカードなど、バラエティに富んだおみやげをゲットできました。
日本の食文化がぎゅっと詰まった豊洲市場は、目でも舌でも楽しめるスポット。ぜひ早起きして、1日の始まりを有意義に過ごしてみてください。
施設名:豊洲市場
住所:〒135-0061 東京都江東区豊洲6丁目
TEL:03-3520-8205
一般開放時間:5:00~17:00(飲食店舗・物販店舗は各店舗の営業時間に準ずる)
定休日:日曜・祝日・休市日
Webサイト:http://www.shijou.metro.tokyo.jp/toyosu/
- Writer
- 三橋温子
- Photographer
- 原田真理
ソトレシピLOCAL GUIDE
-
ソトレシピ編集部(SOTO RECIPE Editorial department)
詳細を見る