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フグ、アラ…とびきり新鮮な寿司が激安! 下関市・唐戸市場の「活きいき馬関街」を堪能

22店の自慢ネタを味わい尽くせる特別企画

本州の最西端、山口県下関市にある「唐戸市場」(からといちば)。日本海と瀬戸内海、東シナ海など好漁場から日本有数の魚種が集まり、ふぐの市場として有名です。地方の卸売市場としては全国的にも珍しく、地元の漁師が魚を直接販売したり、農産物の直売所があったりと、あらゆる食材がそろっています。

卸売市場風景

新鮮な魚介類が並び、地元の人や観光客でいつも賑わっている唐戸市場。中でも絶大な人気を誇るのが「活きいき馬関街」(いきいきばかんがい)です。毎週末、市場で繰り広げられる“寿司バトル”には、多くの人が詰めかけるといいます。一体どんなバトルなのでしょうか!? 体験してみました。

お店の人たちはおそろいの帽子や制服を着て、次々やって来るお客さんに明るく対応していた
人気NO1と書かれていた「本まぐろ脳天」(1貫300円)は脂がのって、とろけるおいしさ。左は「日の丸」(1貫100円)と呼ばれるトロの身皮で、あっさりした味わい

「活きいき馬関街は、金土日・祝日のみ開催される、寿司を食べ歩きできるイベントです。一般の方々にもっと気軽に市場に来てもらい、獲れたての魚を味わってほしいという思いで、18年前に3店からスタートしました」と話すのは、馬関街を取りまとめる「湊商店」の湊さん。それが今や22店にまで増え、国内外に広く知られる名物企画となりました。

「うちの寿司は、こだわりのシャリを仕入れて握っています。」と湊さん。それぞれの店にこだわりがある

土曜の馬関街は朝9時半にスタートします。30分ほど前に市場に着くと、すでに各店は開店準備を進めており、通路に面したケースには大きなお寿司などが並び始めていました。早めに来たお客さんたちは店のケースを熱心に見て回り、「あれ、すごいね!」「こっちもおいしそうじゃない?」と興奮気味に品定めをしています。

豪華なフグ寿司が200円!多様な魚がズラリ

カラン・カラン・カラン…。9時半になると、係の人が開店を知らせる鐘を鳴らしました。するとお客さんは一斉にお目当ての店へ。すぐに大行列ができた店もあります。
まずは店でトレーをもらい、好きな寿司を1貫ずつ載せて、店ごとに会計をします。「いろんな店をはしごして、好きなものを少しずつ食べるといいですよ。ふぐの専門店、マグロが名物の店など、店ごとに特徴がありますから、ぜひお店の人と会話しながら選んでみてください」と湊さんが教えてくれました。

回ってみると、どの店も趣向を凝らした鮮度抜群の美しい寿司が並んでいて、どれにするか目移りしそう。「今日の特売」「人気No1」などの札があり、中国語・韓国語・英語を併記したものも。ここ数年は外国人客が急増しているそうです。「今日はこの大トロがお得ですよ!」など、お店の人の威勢のいい呼び込みにも力が入ります。


いろいろな店でフグを売っているのは、フグの漁獲量日本一の下関ならでは。ほかにもマグロやエビ、アナゴ、ウナギ、アジ、イクラなど、とにかく安くておいしそうな寿司がズラリ。ノドクロやクエ、クジラといった珍しいネタもありました。同じネタでも炙ったり、タレをつけたり、2つのネタを組み合わせたりと、各店でさまざまな違いがあります。
同じネタを食べ比べるもよし、いろいろな種類をそろえるもよし。好きなものを載せていくと、トレーの上でオリジナルの最高の寿司盛りが完成。楽しくてテンションが上がります。お寿司のほかにも、海鮮の揚げ物や煮つけ、フグ汁なども売られていました。

お店ならではのお寿司もズラリ

美しい海を見ながら食べる新鮮な寿司は格別

市場内の1階や2階にはテーブルや椅子が置かれて、食事スペースになっています。市場の外には海が広がっており、天気のいい日は海沿いのベンチで食べるのがおすすめ。この日も家族連れや若いカップル、シニアの夫婦、数人のグループなどが思い思いの場所で海の幸を堪能していました。
ほとんどのネタは新鮮なものをその日にさばいて提供しているため、鮮度と味わいは格別。しかも格安ということもあり、一口ごとに感動と幸せな気持ちに満たされていきました。

「活きいき馬関街はこれからも参加店舗が増えるでしょう。唐戸市場は全国でも珍しく一般の人に開かれた市場で、国内外からたくさんの人にお越しいただくおかげで、活気あふれる市場になっています。さらに皆さんに喜んでいただける施設や企画を考えて、水産のアミューズメントパークのようにしていきたい」と楽しそうに語る湊さん。おもてなしの心あふれる唐戸市場のこれからにも期待がかかります。

活きいき馬関街
金・土曜:9:30~15:30
日・祝:7:00~15:30

唐戸市場
住所:山口県下関市唐戸町5-50

TEL: 083-231-0001
営業時間:5:00~15:00、日祝は8:00~15:00 ※店舗により異なる
休み:年始、月1・2回
ウェブサイト:http://www.karatoichiba.com/

Writer
佐々木恵美
Photographer
窪田司
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